夏休みの宿題として定番の「書道(習字)」。普段の練習に加えて、夏休みに合わせて多くの書道コンクールが応募を受け付けており、学校の宿題として提出するだけでなく、全国規模の大会に挑戦できるのも夏休みの大きな魅力です。
この記事では、夏休みに開催される主な書道コンクールの種類や特徴、入賞作品に共通するポイント、課題の選び方からお手本の使い方、応募の流れまでをまとめて解説します。「せっかく書くなら、コンクール入賞を狙ってみたい」というお子さん・保護者の方に向けて、実践しやすい形で整理しました。
なお、各コンクールの募集要項・締切・課題は年度ごとに変更されます。応募の際は、必ず最新の応募要項は公式サイトでご確認ください。
夏休みの書道コンクールが盛んな理由
夏休みは、学校・地域・全国規模を問わず、書道コンクールがもっとも盛り上がる時期のひとつです。理由はおおむね次の3つに整理できます。
第一に、夏休みの宿題と相性が良いことです。多くの学校で「書写・習字」が夏休みの自由課題や任意提出として残っており、書いた作品をそのままコンクールに応募できる仕組みになっています。
第二に、主催団体側のスケジュールがあります。JA共済書道・交通安全ポスターコンクールや、新聞社・教育委員会主催の大会など、夏休み期間に募集や校内選考を行い、秋から冬にかけて審査・表彰を行う流れが定番化しています。
第三に、子どもの集中時間を確保しやすい点です。学期中は部活動や習い事で忙しい子も、夏休みなら半紙を広げてじっくり練習する時間が取れます。書道は短時間で一気に書き上げるよりも、何枚も書いて選ぶスタイルが向いており、夏休みの数週間という期間は練習量を積むのに適しています。
書道の宿題そのものの進め方は、夏休み習字課題ガイドでもまとめています。コンクール応募と並行して、宿題提出の準備も進めると効率的です。

主な書道コンクール一覧(応募対象別)
夏休みに応募できる代表的な書道コンクールを、対象学年や特徴で整理します。ここで紹介するものはいずれも長年継続して開催されている全国規模の大会ですが、課題・締切・部門構成は年度ごとに変わるため、必ず最新の応募要項は公式サイトでご確認ください。
全国規模で歴史のある主要コンクール
代表的な大会としては、次のようなものがあります。
- JA共済全国書道・交通安全ポスターコンクール:JA共済連が主催する小中学生向けの全国コンクール。書道と交通安全ポスターの両部門があり、夏休み前後に学校単位で取り組まれることが多い大会です。
- 全国書きぞめ大会・席書大会:新聞社や書道団体が主催する大規模な大会で、冬の課題と並んで夏季の作品募集を行う部門もあります。
- 毛筆書写技能検定(書写検定):日本書写技能検定協会が実施する検定で、コンクールとは性格が異なりますが、夏休みに練習成果を測る目標として活用されます。
- 地方新聞社・教育委員会主催の書道展:各地域で開催される展覧会型のコンクール。学校を通じての応募が中心です。
- 書道団体・流派が主催する競書誌の昇格試験:習字教室に通っている場合は、教室経由で全国規模の競書誌に出品するケースも一般的です。
応募対象とおおまかな特徴
各コンクールのおおまかな性格を一覧で整理すると、次のようになります(具体的な部門・課題は年度により変動します)。
| コンクール種別 | 主な対象 | 応募ルート | 特徴 |
|---|---|---|---|
| JA共済書道コンクール | 小学生・中学生 | 学校経由が中心 | 全国規模・歴史が長い |
| 全国書きぞめ・席書大会 | 小中高生 | 学校・個人 | 部門が細かく分かれる |
| 地方新聞社主催書道展 | 小中高生 | 学校経由・個人 | 地域での表彰機会が多い |
| 書写技能検定 | 小学生〜一般 | 個人申込 | 検定形式・級位認定 |
| 競書誌(教室経由) | 教室生 | 教室経由 | 昇段・昇級と連動 |
「どれに応募すべきか分からない」という場合は、まず学校から配布されるプリントを確認し、学校でまとめて応募する大会から取り組むのが最もハードルが低い方法です。
絵画系のコンクールに興味がある場合は、夏休み絵画コンクールもあわせてご覧ください。
入賞作品に共通するポイント
書道コンクールの審査基準は大会ごとに異なりますが、一般に「点画の正確さ」「字形・字配り」「線質(筆の力強さ・なめらかさ)」「全体の調和」が見られると公表しているコンクールが多くあります。入賞作品には、次のような共通点が見られます。
第一に、お手本に対する忠実さです。とくに小中学生の課題部門では、自由な表現よりも、課題のお手本にどれだけ近づけられているかが評価の中心になります。線の太さ、文字の大きさ、止め・はね・払いの形まで、お手本を丁寧に観察できているかが鍵です。
第二に、紙面全体のバランスです。一文字ずつは上手に書けていても、左右に傾いていたり、上下の余白が不揃いだったりすると評価が下がります。半紙のどこに何文字目を置くかをあらかじめ決めておく「字配り」が重要です。
第三に、線質の安定感です。筆を立てて、墨をたっぷり含ませ、最初の一画から最後まで筆圧を保てているかが見られます。かすれや墨だまりが極端に出ている作品は、よほど意図的でない限り入賞作品では少数派です。
第四に、清書としての完成度です。落款(名前)の位置や大きさ、半紙の汚れ・しわなど、「作品として人に見せる状態か」も意外と重要です。良い字が書けても、半紙にシワが寄っていたり、名前が大きすぎたりすると印象が下がります。

課題の選び方とお手本の使い方
コンクールでは、年度ごとに「課題」が指定されているケースと、自由課題のケースがあります。それぞれで準備の進め方が変わります。
指定課題の場合
JA共済書道コンクールや書きぞめ大会など、指定課題があるコンクールでは、まず公式の課題プリント(学校から配布されることが多い)を入手することが第一歩です。
- 配布されたお手本を、最低でも数枚コピーしておく
- 1枚は壁に貼り、目線の高さで常に確認できるようにする
- 1枚は半紙の隣に置き、見比べながら練習する
お手本は何度も触ると破れてしまうため、原本を保護した上で、書き込み用のコピーに気づいた特徴(「はらいが長め」「2画目はやや右上がり」など)をメモすると、修正点が頭に残りやすくなります。
自由課題の場合
学年に応じて、四字熟語・季節の言葉・短歌などから選びます。選ぶ際のポイントは次のとおりです。
- 学年配当漢字より大きく外れない範囲で選ぶ
- 画数の多すぎる漢字・少なすぎる漢字ばかりに偏らない
- 半紙のサイズに対して文字数が適切(四文字なら一般的な半紙で書きやすい)
自分で選ぶ場合も、必ず先生や教室の指導者にお手本を書いてもらい、それを元に練習するのが基本です。
お手本練習の進め方
お手本に近づける練習として、次の流れが有効です。
| 段階 | 内容 | 目安枚数 |
|---|---|---|
| 観察 | お手本の特徴を口に出して確認 | 0枚(練習前) |
| 単字練習 | 一文字ずつ大きく書く | 文字数×5枚程度 |
| 通し練習 | 半紙に全文字を書く | 10〜20枚 |
| 清書選定 | 良い作品を数枚選び比較 | 3〜5枚 |
書道に限らず、夏休みの作品づくり全般の進め方は夏休みの作品づくりでもまとめていますので、あわせて参考にしてみてください。
作品制作の手順とコツ
ここからは、実際の制作日に意識したい流れと、入賞を狙うためのコツを整理します。
道具の準備
- 筆:太筆・細筆ともに、毛先が割れていないものを使用。古い筆は本番前に新しいものに替えるのが理想です。
- 墨・墨液:墨液は手軽ですが、コンクール用には磨った墨を使う家庭・教室も多くあります。指導者に確認しましょう。
- 半紙:本番用は、練習用より厚みのある「清書用半紙」を使うと、にじみ過ぎを防げます。
- 下敷き・文鎮:黒の下敷きは線が見やすく、文鎮は半紙のずれを防ぎます。
当日の流れ
- 机を片付け、半紙より一回り広いスペースを確保する
- 姿勢を整え、筆の持ち方・座り方を確認する
- 試し書きを1〜2枚行い、墨の濃さと筆の調子を確認する
- 連続して5〜10枚清書する
- 全作品を並べて、家族や指導者と一緒に「最も良い1枚」を選ぶ
一気にたくさん書こうとせず、休憩を挟んで2〜3セットに分けるのがおすすめです。集中力が落ちた状態で書いた作品は線が弱くなり、選から漏れやすくなります。
仕上がりを底上げするコツ
- 「最初の一画」を丁寧に書く意識を持つ(最初の線で作品全体の印象が決まります)
- 払い・はねは止めずに最後までしっかり抜く
- 名前は本文の邪魔をしない位置・大きさで書く
- 完成作品は、立てた状態で少し離れて見て客観的に評価する

応募の流れと注意点
書道コンクールの応募方法は大会ごとに細かく異なりますが、一般的には次のような流れになります。
一般的な応募ステップ
- 学校や教室を通じて募集要項を入手する(または公式サイトで確認)
- 課題・部門・締切・規格(半紙のサイズ、墨の種類など)を確認する
- 練習・清書を行う
- 応募用紙・規定のラベルを作品の裏に貼る
- 学校でまとめて提出、または個人で郵送・持参する
学校経由の応募と個人応募では、締切が大きく異なる場合があります。学校でまとめて応募する場合、本来の締切より2〜3週間早い校内締切が設定されることが一般的です。
よくある失敗・注意点
応募作品でよくあるミスは、次のようなものです。
| 失敗例 | 起きやすい場面 | 対策 |
|---|---|---|
| 規定サイズ違反 | 自由課題で半紙以外を使用 | 募集要項の用紙指定を確認 |
| 名前の書き忘れ・誤記 | 清書終了後の確認不足 | 提出前に学年・氏名を再確認 |
| 折り目・しわ | 持ち運び時の扱い | 平らな状態で運搬・保管 |
| 締切超過 | 校内締切を見落とし | カレンダーで二重管理 |
| 部門違いの応募 | 学年・課題の取り違え | 応募票で部門欄を再確認 |
書道作品は、丸めて持ち運ぶより、平らな状態でファイルや厚紙に挟むのが安心です。提出までの保管にも気を配りましょう。
宿題提出に関する全体の進め方は、夏休みの絵の宿題や小学生の夏休み新聞でも、ジャンル別にコツをまとめています。

よくある質問
Q. 書道教室に通っていなくてもコンクールに応募できますか?
はい、ほとんどの全国規模の書道コンクールは、学校経由・個人応募のどちらでも受け付けています。学校を通じて応募する場合、担任の先生や書写担当の先生に「コンクールに出したい」と伝えれば、応募方法を案内してもらえることが多いです。教室に通っていない場合でも、市販の手本帳や課題の手本を入手すれば挑戦できます。
Q. 入賞を狙うなら、何枚くらい書けば良いですか?
枚数に絶対的な正解はありませんが、指導者の経験則として「清書だけで最低10枚以上」「単字練習を含めれば数十枚」というケースが多いようです。重要なのは枚数そのものより、1枚ごとに修正点を意識して書けているかです。同じ間違いを繰り返している場合は、一度休憩して、お手本を見直す時間を作りましょう。
Q. 墨液と磨った墨では、どちらが入賞しやすいですか?
どちらでも入賞作品は出ています。墨液は手軽で扱いやすく、磨った墨は線質に深みが出やすいとされます。コンクールの規定で指定がなければ、普段の練習で慣れている方を使うのが安全です。学校や教室で指導を受けている場合は、指導者の方針に合わせるのが無難です。
Q. 名前(落款)はどのくらいの大きさで書けば良いですか?
一般的には、本文の文字より明らかに小さく、本文の縦のラインを揃える形で書きます。大会によっては「学年・氏名は規定欄に別途記入」というルールもあるため、必ず最新の応募要項は公式サイトでご確認ください。
Q. 入賞しなかった場合、作品はどうなりますか?
多くのコンクールでは、応募作品は原則として返却されない運用です。展覧会で展示後に返却される大会もありますが、年度や部門によって対応が変わります。手元に残したい場合は、応募前に必ずスキャンや写真撮影をしておきましょう。賞状や副賞の有無、表彰式の有無も大会により異なります。
書道コンクールは、努力した分だけ結果に表れやすい、夏休みの挑戦としてとても価値のある活動です。お手本をよく観察し、線一本ずつ丁寧に積み上げていけば、初めての応募でも十分に手応えのある作品に仕上がります。ぜひこの夏、お気に入りの一枚を仕上げて、コンクールに挑戦してみてください。