大学生の夏休みは、社会に出る前に「まとまった時間を海外での学びに使える」貴重な期間です。就活や卒論、大学院進学の準備が本格化する前に、語学力を伸ばしたり海外インターンで実務経験を積んだりできるのは、大学生ならではの特権と言えます。この記事では、大学生の夏休み留学について、プログラムの種類・期間・費用相場・奨学金制度・就活や単位認定との両立・準備の流れまでを整理します。
留学以外の選択肢も含めて夏休みの過ごし方全体を比較したい方は、大学生の夏休みの過ごし方もあわせて参考にしてください。
大学生が夏休みに留学する意義と選び方
大学生の夏休みは、多くの大学で7月下旬〜9月末までの約2か月間確保されており、社会人になってからでは難しい「1〜8週間の海外滞在」がスケジュール的に組みやすい時期です。休学しなくても参加できるプログラムが充実しており、進級や卒業のタイミングに影響を与えずに海外経験を積めるのが大きな魅力です。
大学生が夏休みに留学するメリットは、単なる語学学習にとどまりません。海外の教育機関や企業で英語を「使う」経験は、就職活動での自己PRや、大学院進学時の志望動機を具体化する材料になります。多様な国籍のクラスメイトと議論する経験、初対面の相手に自分の意見を英語で伝える経験は、日本国内での座学だけでは得にくいものです。
一方で、大学生の留学は「行けば何とかなる」ものではありません。目的が曖昧なまま渡航すると、費用と時間に対して得られる成果が少なくなりがちです。渡航前に、次の観点で目的を言語化しておくと後悔しにくくなります。
| 観点 | 自問すべきポイント |
|---|---|
| 目的 | 語学力向上/専門知識/海外就労経験/異文化理解のどれが優先か |
| 期間 | 夏休みの前半・後半・全期間のどれを充てられるか |
| 予算 | 自己資金・親の支援・奨学金・アルバイトのバランス |
| キャリア | 就活・院進・研究計画とどう接続させるか |
| 帰国後 | 学んだことをどのアウトプットに落とし込むか |
とくに3年生以降は、就活や研究室配属との兼ね合いが強くなります。1〜2年生であれば「まず語学の基礎固め」、3年生以降は「就活で語れる経験づくり」と、学年ごとに狙いを変えるのが現実的です。
大学生向けの主な留学プログラム4タイプ
大学生が夏休みに参加できる留学プログラムは、大きく分けて4つのタイプがあります。目的・費用・得られる経験が異なるため、自分の狙いに合わせて選ぶことが大切です。

語学留学(1〜8週間)
もっとも参加しやすいのが、現地の語学学校で英語を集中的に学ぶ語学留学です。滞在期間は1週間から数か月まで選べ、夏休みの一部を使って参加する大学生が多い定番プログラムです。授業は「レベル別クラス編成」が一般的で、初日にレベルチェックテストを受けてから同レベルの受講生と学びます。滞在形式はホームステイと学生寮の2択が中心で、ホームステイは生活の中で英語を使う機会が多く、寮は他国の学生との交流に向いています。
「まずは英語での生活に慣れたい」「就活前に総合的な英語力を伸ばしたい」という大学生に向いています。中高生向けの語学留学と比べて、大学生向けクラスは討論・プレゼンなどアウトプット中心のカリキュラムが選べる点が特徴です。高校生向けの短期留学と大学生向けの内容の違いを比較したい場合は、高校生の夏休み短期留学を参考にしてみてください。
専門留学・サマースクール(2〜6週間)
海外大学が夏に開講する「サマースクール」に参加するのが専門留学です。ビジネス、国際関係、コンピューターサイエンス、アート、環境学など、テーマ別の授業を英語で受講します。海外大学のキャンパスで正規学生と同じ環境で学べるため、大学院進学や海外就職を視野に入れる学生に人気です。
サマースクールは大学単位で受講できるプログラムもあり、修了時に単位や修了証が発行されるものもあります。所属大学の協定校が開講しているサマースクールなら、単位認定を受けやすいケースが多いので、まずは国際交流課に相談するのが近道です。単位認定の可否や必要書類は大学ごとに異なるため、必ず所属大学の公式情報を確認してください。
海外インターンシップ(2〜12週間)
海外の企業や現地法人で実務経験を積むプログラムが海外インターンシップです。無給インターン、有給インターン、大学派遣のインターンシップなど形態はさまざまで、業種はIT、マーケティング、ホスピタリティ、NPO・NGO運営など多岐にわたります。就職活動で「英語を使って実際に働いた経験」を語れるのが最大の魅力です。
日本国内のサマーインターンとの両立を考える大学生も少なくありません。国内インターンと海外インターンの位置づけを整理したい方は、夏休みインターンの探し方もあわせて確認してみましょう。国内・海外どちらも重要なのは「参加後のアウトプットを事前に設計しておく」ことです。

海外ボランティア(1〜4週間)
環境保全、教育支援、児童ケア、動物保護、地域開発など、海外の非営利活動に参加するタイプの渡航です。現地NGOや民間団体を通じて申し込むケースが多く、活動と英語学習を組み合わせた「ボランティア+語学」のパッケージも存在します。
大学生の夏休みでは、東南アジアやアフリカ、南米などが行き先の中心です。ただし、活動内容やビザ要件、安全面のリスクは国と団体によって大きく異なります。参加前に外務省の「海外安全ホームページ」で危険情報を確認し、活動団体の実績・受け入れ体制を必ずチェックしてください。
費用相場|期間・地域別の目安
大学生の夏休み留学で気になるのが総費用です。ここでは1週間・4週間・8週間の期間別に、地域ごとの一般的な目安を整理します。あくまで学費・滞在費・食費を含んだ「現地滞在にかかる費用の目安」で、航空券・保険・お小遣いは別途必要です。実際の費用は年度・為替・プログラム内容によって大きく変動するため、必ず各エージェント・大学の公式情報で最新料金を確認してください。
| 期間 | フィリピン・マレーシア | オセアニア | 北米(米・カナダ) | 英国・アイルランド |
|---|---|---|---|---|
| 1週間 | 10万円前後〜 | 20万円前後〜 | 25万円前後〜 | 25万円前後〜 |
| 4週間 | 25万円前後〜 | 45万円前後〜 | 55万円前後〜 | 60万円前後〜 |
| 8週間 | 40万円前後〜 | 80万円前後〜 | 100万円前後〜 | 110万円前後〜 |
上表はあくまで参考値です。滞在形式(寮・ホームステイ・アパート)、都市(首都圏か地方か)、授業時間数(週20コマ・週30コマ)、円安・円高の影響で総額は大きく上下します。近年は為替変動が大きいため、見積もりを取ったあとに再確認するくらいの慎重さが必要です。
これに加えて、次の費用も別途発生します。
| 項目 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 往復航空券 | 10〜30万円程度 | 出発時期・便・キャンセルポリシーで変動 |
| 海外旅行保険 | 1万円〜/月 | 補償額・治療費上限で選ぶ |
| ビザ・ESTA・ETA等 | 数千円〜数万円 | 国と滞在日数で異なる |
| パスポート発給 | 10年旅券約1万6千円 | 5年旅券は約1万1千円 |
| 現地交通・通信 | 1〜3万円/月 | 都市部の交通費・SIMなど |
とくに航空券は、出発日・帰国日の1〜2日ずらすだけで数万円変わることがあります。夏の繁忙期は早期予約が基本で、目安として出発の3〜6か月前には価格を比較し始めるのが安心です。

現地でのお金の管理には、複数のクレジットカードと海外プリペイドカードの併用が定番です。留学準備用の書籍や旅行グッズは通販でまとめ買いした方が割安なことが多いです。
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費用を抑える|奨学金・支援制度の選択肢
留学費用を全額自己負担するのは負担が大きいですが、大学生には複数の公的・民間の支援制度が用意されています。主要なものを整理します。制度の内容や採用条件、支援金額は年度ごとに見直されるため、応募時は必ず各機関の公式サイトで最新の要項を確認してください。
| 制度 | 実施主体 | 対象・特徴 |
|---|---|---|
| トビタテ!留学JAPAN | 文部科学省・官民協働 | 大学生等を対象にした返還不要型の奨学金プログラム。留学計画の独自性と社会還元性が重視される |
| JASSO 海外留学支援制度 | 日本学生支援機構(JASSO) | 大学の交換留学や短期研修などが対象。給付型と貸与型がある |
| 大学独自の奨学金 | 所属大学 | 交換留学・認定留学・サマースクール参加者向け。渡航費や授業料の一部を補助 |
| 民間財団の奨学金 | 各種財団 | 業種・地域・専攻テーマに応じた給付型が多い |
| 地方自治体の助成 | 都道府県・市区町村 | 在住・在学者向けに海外派遣費を助成する事例あり |
トビタテ!留学JAPANは、文部科学省が官民協働で運営する留学支援制度で、独自性のある留学計画を持つ学生を対象に給付型の支援を行っています。JASSOの海外留学支援制度は、大学の交換留学や短期研修などに対して、給付型と貸与型の両方が用意されています。いずれも応募時期・条件・支給額は毎年度更新されるため、最新の情報はトビタテ!留学JAPAN公式サイトやJASSO公式サイトで必ず確認してください。
これらの支援制度は「大学経由での申請」となる場合が多く、学内の締切が国の締切よりも早く設定されているケースがあります。前年度の秋〜冬に募集が始まる制度もあるため、夏休み留学を考え始めた段階で、国際交流課・学生課に一度相談しておくと申請機会を逃しにくくなります。民間エージェント経由の留学でも、大学独自の奨学金は利用できる場合があるため、まずは所属大学の窓口に確認するのが確実です。
就活・単位認定との両立|大学生ならではの計画
大学生の留学は、就活・単位・進路との整合性を考えることが不可欠です。とくに3年生以降は「留学に行くべきか、日本でインターンや研究に集中すべきか」で悩む学生が増えます。ここでは学年別に考え方の目安を整理します。
学年別のおすすめ設計
| 学年 | おすすめの位置づけ | 意識したいポイント |
|---|---|---|
| 1年生 | 語学の基礎固め・視野を広げる | 目的が広くてもOK。生活力を養う |
| 2年生 | 語学+関心分野の探索 | サマースクールで専攻の芽を作る |
| 3年生 | 就活で語れる経験を作る | 帰国後すぐに就活が始まる前提で設計 |
| 4年生 | 卒論・院進の準備と接続 | 研究計画・出願と両立できる期間か |
3年生の夏に海外インターンや長期のサマースクールに参加する場合、帰国直後にサマーインターン後半戦や本選考早期選考が始まる企業もあります。渡航前に、帰国後2週間程度のリカバリー期間を確保しておくと、就活準備がスムーズになります。
単位認定と休学の判断
夏休み期間内に完結する留学であれば、原則として休学は不要です。ただし、後期開始日と留学の帰国日が近い場合は履修登録や履修相談に影響が出るため、渡航スケジュールと大学のアカデミックカレンダーを重ねてチェックしましょう。
サマースクールで単位を取得できる場合、大学によって「認定留学扱いになるか」「単位互換の対象になるか」が異なります。単位認定を受けるには、事前に大学へ申請書を提出したり、修了後にシラバス・成績証明書を提出したりする必要があります。手続きの流れは大学ごとに異なるため、必ず所属大学の公式手続きに従ってください。
就活で経験を語るための準備
留学経験を就活で活かすには、「行ったこと」ではなく「そこで何を考え、何を変えたか」を語れるかが問われます。渡航前に、次のような問いへの答えを言語化しておくと、帰国後のエピソード整理がしやすくなります。
- なぜこの国・このプログラムを選んだのか
- 現地でどんな課題に直面し、どう乗り越えようとしたか
- 帰国後、何をどう変えたいと思ったか
現地でエピソードをメモに残す習慣をつけると、就活期に「もう内容を思い出せない」という失敗を避けられます。
準備の流れとチェックリスト
大学生の夏休み留学は、渡航の3〜6か月前から準備を始めるのが目安です。行き先や制度、ビザ要件によって必要期間は前後します。ここでは一般的な流れを整理します。

6か月前〜3か月前
まずは目的整理と情報収集の段階です。大学の国際交流課・キャリアセンター、留学エージェント、大学のOB/OG体験談などを通じて、複数のプログラムを比較します。この時期に奨学金の情報も並行してチェックしておくと、応募締切に間に合いやすくなります。パスポートの残存期間(一般に帰国日から6か月以上を求める国が多い)を確認し、必要なら早めに更新申請をしましょう。
3か月前〜1か月前
プログラムを確定し、正式に申し込みます。授業料の入金、宿泊先の手配、航空券の予約もこの時期に進めます。ビザやESTA、ETAなどの入国関連手続きは、国ごとに要件と処理期間が異なるため、必ず渡航先の在日大使館や公式サイトで最新情報を確認してください。海外旅行保険は、大学経由の団体保険か、個別に加入するかを比較して選びます。留学中の医療費は日本と比較にならないほど高額になるケースがあるため、補償額は十分な水準を選ぶのが安心です。
1か月前〜出発
渡航直前の準備段階です。持ち物のチェック、緊急連絡先の共有、現地通貨・カード類の準備、SIMカードやeSIMの手配などを進めます。荷物はスーツケースにまとめ、機内持ち込みには貴重品・パスポート・常備薬を分けて入れます。
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忘れやすい持ち物リスト
| カテゴリ | アイテム例 |
|---|---|
| 書類 | パスポート、ビザ、入学許可証、保険証書、航空券 |
| 電気・通信 | 変換プラグ、モバイルバッテリー、SIM/eSIM、ノートPC |
| 学習 | 単語帳、参考書、ノート、辞書アプリ、電子書籍リーダー |
| 生活 | 常備薬、洗面用具(機内持込サイズ)、着替え |
| セキュリティ | パスポートコピー、緊急連絡先メモ、少額の現地通貨 |
変換プラグやSIMは、現地空港でも購入できますが、日本で先に用意しておくと初日から通信・充電に困りません。
まとめ
大学生の夏休み留学は、社会人になる前に「英語で学ぶ・働く・生活する」経験を積める貴重なチャンスです。語学留学・サマースクール・海外インターン・海外ボランティアなど、目的に応じて複数の選択肢があります。費用は期間・地域・プログラムで大きく変わるため、複数の見積もりを比較しつつ、トビタテ!留学JAPANやJASSO、大学独自の奨学金など、使える支援制度をあわせて検討することが現実的です。
3年生以降は就活や卒論との両立が課題になります。学年ごとに狙いを変え、帰国後のアウトプットを事前に設計しておくと、留学経験を進路につなげやすくなります。海外に行かない選択肢も含めて夏休みを設計したい方は、大学生の夏休み短期バイトおすすめや大学の夏休みはいつから?主要大学の期間まとめも参考に、自分に合った過ごし方を選んでみてください。
なお、留学制度・奨学金・ビザ要件・保険料は年度によって更新されるため、応募・出願時は必ず各機関の公式サイトで最新情報を確認してください。
Q. 大学生の夏休み留学は、休学しないと行けませんか?
いいえ、夏休み期間内に完結する短期プログラムなら、原則として休学は不要です。多くの大学では夏休みが約2か月あるため、1〜8週間の語学留学・サマースクール・海外インターンは通常のカリキュラムに影響を与えません。ただし、後期開始日と帰国日が近い場合は履修登録や履修相談に影響することがあるため、渡航スケジュールを大学のアカデミックカレンダーと必ず照らし合わせてください。
Q. 就活と夏休み留学は両立できますか?
3年生の夏に留学する場合、帰国直後にサマーインターンの後半戦や本選考の早期選考が始まる企業もあります。渡航前に「留学中に選考が動く企業のスケジュール」を把握し、帰国後2週間程度のリカバリー期間を確保しておくと両立しやすくなります。留学経験は就活で強みになりますが、「留学に行った」だけでは差別化になりません。現地で得た気づきや行動を語れるよう、渡航中からエピソードを言語化しておくのがおすすめです。
Q. トビタテ!留学JAPANやJASSOの奨学金は誰でも応募できますか?
トビタテ!留学JAPANは主に文部科学省と官民協働で運営される給付型プログラム、JASSO海外留学支援制度は日本学生支援機構が実施する制度で、いずれも大学生等を対象にしていますが、応募条件・支援金額・応募時期は年度ごとに更新されます。多くは所属大学経由での応募になり、学内締切が国の締切よりも早いケースが少なくありません。「使えるかもしれない」と思ったら、まずは所属大学の国際交流課・学生課に相談し、公式サイトで最新の募集要項を確認するのが確実です。
Q. 費用を抑えるならどの国がおすすめですか?
学費・生活費のトータルで比較すると、フィリピンやマレーシアなど東南アジアの語学学校は、欧米圏に比べて費用を抑えやすい傾向があります。マンツーマンレッスンが多く、話す量を確保しやすいのも大学生に向いています。一方で、大学院進学や欧米企業でのキャリアを見据えるなら、少し費用がかかっても北米や英国・アイルランドで「現地の教育文化に触れる」価値もあります。目的と予算のバランスで選ぶのがおすすめです。あくまで費用は目安で、為替や時期で変動するため、複数のプログラムから見積もりを取って比較してください。
Q. 留学中の安全対策で最低限やっておくべきことは?
出発前に、外務省の「たびレジ」に登録しておくと、渡航先の安全情報や緊急連絡が受け取れます。パスポートのコピー・保険証書・緊急連絡先は、原本と分けて保管するのが基本です。現地では、夜間の一人歩きを避け、貴重品はホテルの金庫や体に密着したポーチで管理します。医療費が高額な国では、体調不良を我慢せず早めに保険会社の提携病院を利用しましょう。国別の危険情報は外務省海外安全ホームページで最新情報を確認してください。