夏休みは、まとまった時間を使ってじっくり文章と向き合える絶好の機会です。普段の宿題作文とは違い、テーマを選び、構成を練り、自分の言葉で考えを伝える「作文コンクール」は、書く力だけでなく、考える力や伝える力を大きく伸ばしてくれます。

この記事では、小学生・中学生が夏休みに応募できる代表的な作文コンクールを、テーマ別(自然・環境・社会・家族など)にわかりやすく整理しました。あわせて、入賞作品に共通するポイントや、書き出し・構成のコツ、応募までの流れと注意点も解説します。「どのコンクールに応募すればいい?」「どう書けば伝わる?」と迷うお子さんと保護者の方に向けた、夏休みの作文ガイドです。

なお、各コンクールの応募要項や締切は年度によって変わるため、最新の応募要項は公式サイトでご確認ください。

夏休みの作文コンクールの魅力

夏休みの作文コンクールは、単に「賞を取るための活動」ではありません。テーマと向き合い、自分の体験や考えを言葉にしていく過程そのものが、子どもにとって大きな成長の機会になります。

まず、コンクールには「テーマ」と「規定字数」という枠組みがあります。これがあることで、「何を書こうか」と漠然と悩む状態から、「このテーマについて、どの体験を、どの順番で書こうか」と考える発想に切り替わります。学校の宿題作文では得にくい、目的のある書き方を体験できるのが大きな魅力です。

また、コンクールには審査員からのフィードバックや入選作品集など、外からの評価が返ってくる仕組みがあります。自分の文章が誰かに読まれ、評価されるという経験は、書くことへの自信や、もっと上手くなりたいという意欲につながります。

夏休みは、家族旅行や自由研究、地域のイベント、平和学習など、作文のテーマになりやすい体験が多い時期でもあります。読書感想文の課題図書とあわせて、絵画や書道のコンクールにも挑戦するお子さんも多いでしょう。あわせて夏休みの絵画コンクール書道コンクールエコ絵画コンクールも参考にしてみてください。

A cheerful Japanese student holding a trophy and certificate from a writing contest, summer backgrou

作文コンクールに取り組むことで身につく力は、次のように整理できます。

身につく力 具体的な内容
考える力 テーマについて自分の意見を整理する力
伝える力 読み手を意識して言葉を選ぶ力
構成力 書き出し・展開・まとめを組み立てる力
観察力 体験や出来事を細かく思い出す力
表現力 比喩や具体的な描写で伝える力

これらは国語の学習だけでなく、将来の小論文・面接・プレゼンなど、あらゆる場面で役立つ「一生もののスキル」です。

主な作文コンクール一覧

夏休み前後に応募できる代表的な作文コンクールを、対象学年や特徴ごとに整理しました。ここで紹介するのはいずれも全国規模で長年続いている、実在の主要コンクールです。詳細な対象学年・応募方法・締切は年度によって変わるため、必ず各主催団体の公式サイトで最新情報を確認してください。

全国規模の代表的コンクール

主に学校経由や個人で応募できる、知名度の高いコンクールです。

コンクール名 主催 主なテーマ 主な対象
青少年読書感想文全国コンクール 全国学校図書館協議会ほか 課題図書・自由図書の感想文 小学生〜高校生
JA共済 小・中学生書道・交通安全ポスターコンクール(書道部門) JA共済 書道作品 小・中学生
「家族のきずな」エッセイ(JA共済) JA共済 家族との思い出・きずな 小・中学生
全国納税貯蓄組合連合会「税に関する作文」 国税庁・全国納税貯蓄組合連合会 税の意義や社会との関わり 中学生
JX-ENEOS「童話と詩」のコンクール JX-ENEOS 創作童話・詩 一般・学生など

このうち、夏休み中の作文として最も有名なのは「青少年読書感想文全国コンクール」です。あわせて夏休みの課題図書もチェックしておくと、本選びがスムーズです。

テーマ別に応募できるコンクール

社会的なテーマや、地域ごとのテーマを扱うコンクールも数多くあります。

分野 コンクール例 テーマの方向性
平和・人権 自治体や新聞社主催の平和作文 平和の大切さ、戦争を学ぶ
環境・自然 環境省や自治体主催の環境作文 自然保護・エコ・気候変動
福祉・ボランティア 社会福祉協議会主催の作文 高齢者・障害・助け合い
食・農業 農業団体・食品会社の作文 食の大切さ・地産地消
命・健康 医療系団体主催の作文 命の大切さ・健康・スポーツ

地域限定のコンクールは、競争率が比較的おだやかで入賞しやすい傾向もあります。市町村の広報誌や学校のお知らせを必ずチェックしましょう。

A neatly arranged stack of contest leaflets and application forms for summer composition contests on

テーマ別の書き方ヒント

コンクールごとに求められるテーマは異なります。ここでは、よく出題されるテーマ別に、書き方のヒントを紹介します。

自然・環境がテーマの場合

「自然を守ること」「身近な環境問題」などをテーマにする場合、いきなり大きな話から始めるのではなく、自分の身近な体験から書き出すのがコツです。

  • 川や海で見つけたゴミの観察
  • セミやトンボなど、夏休みの生き物観察
  • エアコンの使い方や節電の工夫
  • 地域の清掃ボランティアに参加した体験

例えば「川で泳いだら、空き缶が流れてきた」という小さな出来事から、「自分にできることは何か」と考えを広げると、説得力のある作文になります。

社会・税・人権がテーマの場合

「税の作文」や「人権」「平和」などのテーマでは、抽象的な言葉だけで終わらせず、自分や家族の生活と結びつけることが大切です。

  • 図書館や公園、信号機など、税金で支えられている身近なもの
  • ニュースで見た出来事に対して感じたこと
  • 家族や地域の人から聞いた、戦争や災害の話
  • 学校で学んだ平和学習の内容

「税金は社会を支えるためにある」というありきたりな結論よりも、「自分が普段使っている◯◯も税金で成り立っていると知って驚いた」と、具体的な気づきから書くと、印象的な作文になります。

家族・きずながテーマの場合

「家族のきずな」など、家族をテーマにしたコンクールも人気です。書きやすい一方で、「ありがとう」「大切な家族」だけで終わってしまいがちな分野でもあります。

  • 一緒に過ごした特別な一日
  • 家族と意見が食い違ったエピソード
  • 祖父母や親戚から聞いた話
  • 兄弟げんかと仲直りの場面

「いつも仲が良い家族」よりも、「ぶつかって、わかり合えた家族」のほうが、読み手の心に届きます。きれいごとにせず、本音を少し混ぜると印象に残ります。

読書感想文の場合

読書感想文は、あらすじを長く書きすぎないことが鉄則です。本の内容紹介は全体の3割程度にとどめ、自分の体験や考えを中心に書きましょう。詳しい書き方は読書感想文の書き方も参考にしてみてください。

A Japanese child looking thoughtfully at nature, mountains and river in summer, holding a notebook t

入賞作品に共通するポイント

過去の入賞作品集を読むと、テーマや学年が違っても、共通する「光るポイント」がいくつかあります。

ポイント 内容
体験の具体性 五感や場面が思い浮かぶ具体的描写
自分だけの視点 他の人が書かない切り口・気づき
心の変化 出来事の前後で考え方が変わる過程
テーマとの結びつき 体験から学んだことが、テーマに自然につながっている
言葉の選び方 借り物でない、自分の言葉で書かれている

一方で、減点されやすい特徴もあります。

  • 「楽しかった」「悲しかった」など、感想だけで具体性がない
  • ニュースや本の引用が多く、自分の意見が見えない
  • 結論が「これからもがんばりたいです」で終わってしまう
  • テーマから外れた話が長く続く
  • 誤字・脱字・原稿用紙の書き方ミスが多い

「うまく書こう」とするより、「自分にしか書けない場面を1つ選ぶ」ことが、入賞への近道です。

夏休みの自由研究や作品づくりと組み合わせて、テーマを深掘りしてみるのもおすすめです。

構成と書き出しのコツ

良い作文には、必ずわかりやすい「構成」があります。書き始める前に、簡単なメモを作るだけで、文章の質は大きく変わります。

基本の構成テンプレート

作文の基本は、次の3パートで考えるとシンプルです。

構成 役割 目安の分量
書き出し 興味を引く・テーマを示す 全体の1〜2割
体験・本論 具体的な出来事と気づき 全体の6〜7割
まとめ 学び・これからの自分 全体の1〜2割

「テーマ → 体験 → 気づき → これから」の流れを意識すると、迷わず書き進められます。提出用と下書き用に400字詰めの原稿用紙を多めに用意しておくと、書き直しや清書がスムーズです。

(PR)「原稿用紙 400字」をAmazonで探す / 楽天で探す

書き出しのパターン例

「初めの一文」で読み手の心をつかむと、その後の文章がぐっと読みやすくなります。

  • 会話文から始める:「『そんなにゴミが落ちているの?』妹が驚いて言った。」
  • 場面描写から始める:「青い空に、白い入道雲がもくもくと立ち上がっていた。」
  • 問いから始める:「もしも、家族と話せない一日があったら、私はどうするだろう。」
  • 印象的な事実から始める:「日本では、毎年たくさんの食べ物が捨てられている。」

「私は◯◯について書きます」という宣言型の書き出しは、無難ですが印象に残りにくいので、できれば避けたいパターンです。

まとめのコツ

まとめは「これからどうしたいか」を、できるだけ具体的に書くと印象が良くなります。「がんばりたい」ではなく、「毎月一回、家族で川の清掃に参加しようと思う」のように、行動レベルまで落とし込むと、説得力が増します。

A young writer's hand drafting an outline on paper with arrows and bullet points, beside a glass of

応募の流れと注意点

ここでは、コンクール応募の一般的な流れと、見落としがちな注意点を整理します。

応募までのステップ

  1. コンクールを選ぶ(公式サイト・学校配布物・地域広報を確認)
  2. 応募要項を読み、対象学年・字数・締切・テーマを整理する
  3. 構成メモを作り、下書きを書く
  4. 家族や先生に読んでもらい、意見をもらう
  5. 清書し、応募用紙・原稿用紙のルールを確認する
  6. 学校経由か個人応募かに従って提出する

応募要項で必ず確認したい項目

項目 確認ポイント
対象学年 学年別の部門があるか
字数 原稿用紙〇枚以内、〇字以内など
テーマ 自由か指定か、サブテーマがあるか
締切 学校締切と主催締切の両方
提出方法 郵送・Web・学校経由など
著作権 入賞作の利用範囲
個人情報 氏名・学校名の表記ルール

字数オーバーや学年違いなどは、内容が良くても審査対象外になってしまうことがあります。必ず親子で一緒にチェックしましょう。

原稿用紙の基本ルール

  • 題名は2〜3マス下げ、名前は次の行に書く
  • 段落の最初は1マス下げる
  • 句読点や閉じカッコは行頭に置かない
  • 数字は縦書きなら漢数字、横書きなら算用数字を基本に
  • 鉛筆またはボールペンなど、指定の筆記具を使う

提出前に、声に出して読み返すと、誤字や不自然な表現に気づきやすくなります。書き方が不安な場合は、構成のテンプレートが載った学習参考書を1冊手元に置いておくと、迷ったときの拠り所になります。

(PR)「読書感想文 書き方 本」をAmazonで探す / 楽天で探す

繰り返しになりますが、応募要項や締切は年度によって変わります。最新の応募要項は公式サイトでご確認ください。

よくある質問

Q. 作文コンクールはいつから準備すればいいですか?

夏休みに入る前、6月〜7月初旬には情報を集め始めるのがおすすめです。コンクールによっては、夏休み前半が締切のものもあります。7月中に下書きまで終え、8月中旬までに清書、後半は予備日と考えておくと余裕を持って取り組めます。

Q. 小学校低学年でも応募できますか?

多くのコンクールには、小学校低学年部門が設けられています。低学年の場合は、長く書くことよりも「自分の言葉で、具体的な場面を一つ書く」ことを大切にしましょう。保護者が話を聞きながら一緒にメモを作り、本人に書かせるとスムーズです。

Q. 同じ作文を複数のコンクールに出してもいいですか?

基本的には、未発表作品を求めるコンクールが多いため、同じ作文の重複応募はおすすめできません。応募要項に「他コンクールへの応募作不可」と書かれている場合もあります。テーマが近い場合は、別のエピソードや視点で書き直すと安心です。

Q. 入賞を狙うために、大人がどこまで手伝ってよいですか?

テーマ選びや構成のアドバイス、誤字脱字のチェックまでは保護者がサポートして問題ありません。ただし、表現や言葉選びまで大人が書いてしまうと、子どもらしさが消え、かえって評価が下がる傾向があります。「子どもの言葉を引き出す質問役」に徹するのが理想です。

Q. なかなか書き出せないときはどうすればいいですか?

書き出せないときは、いきなり原稿用紙に向かわず、まず「思い出したことメモ」を作りましょう。「夏休みで一番びっくりしたこと」「家族と話したこと」「ニュースで気になったこと」など、テーマに関するキーワードを箇条書きにし、その中から一番心が動いたものを選ぶと、書き始めやすくなります。


夏休みの作文コンクールは、自分自身の体験を見つめ直し、誰かに伝える喜びを味わえる、貴重なチャレンジです。賞を取ることだけを目的にせず、「書くって楽しい」という気持ちを大切に、ぜひ夏休みのテーマの一つに加えてみてください。