夏に咲いた花をそのままの姿で長く楽しめる押し花とドライフラワーは、夏休みの自由研究や工作にぴったりの題材です。この記事では、押し花とドライフラワーの違いから、夏に手に入りやすい花の選び方、基本の作り方3種類ずつ、しおりやハーバリウムなどの作品アイデア、自由研究としてまとめるコツまでを一気に解説します。庭やベランダで育てた花、家族と出かけた場所で見つけた植物を使って、夏休みならではの思い出を「形」に残してみましょう。

押し花とドライフラワーの魅力

押し花もドライフラワーも、生の花を乾燥させて長期保存できるようにする技法です。生花のようにすぐしおれてしまうことがなく、色や形をとどめたまま数か月から数年単位で楽しめるのが最大の魅力といえます。

夏休みという長い休みは、朝顔やヒマワリ、ホウセンカなど身近な花が次々と咲く季節です。子どもと一緒に花を選び、乾かし、作品にするプロセスは、観察・工作・思い出づくりの3つを同時に叶えてくれます。しかも、押し花やドライフラワーの多くは新聞紙や段ボール、100円ショップの材料でも作れるため、始めるハードルが低いのも嬉しい点です。

魅力 内容
長く残せる 適切に保存すれば数か月〜数年単位で観賞できる
材料が身近 新聞紙・段ボール・重石など家にあるものでOK
学びが多い 花の名前や乾燥のしくみを自然に学べる
応用が広い しおり、ハーバリウム、レジン、額装など幅広い
思い出になる 家族旅行や庭の花を「形」で残せる

家庭菜園で育てた花や葉を使えば、栽培から作品づくりまでを一連の学びにできます。庭やプランターでの植物栽培に興味がある場合は、夏休みの家庭菜園ガイドもあわせて参考にしてください。

押し花とドライフラワーの違い

「押し花」と「ドライフラワー」は似ているようで、仕上がりや向いている花が異なります。用途に合わせて選ぶことで、作品の完成度がぐっと上がります。

押し花は、花や葉を平らな状態でしっかり乾燥させる技法で、しおりやカード、額装のように「平面で見せる」作品に向いています。一方ドライフラワーは、花の立体的な姿を残したまま乾燥させる技法で、リースやスワッグ、ハーバリウムのように「立体で飾る」作品に向いています。

比較項目 押し花 ドライフラワー
仕上がり 平面的 立体的
向いている花 花びらが薄い花 花びらが厚く水分が少ない花
主な用途 しおり・カード・額装 リース・ハーバリウム・スワッグ
保管方法 本や台紙に挟んで保管 湿気の少ない場所に吊るす
作業日数 数日〜2週間 1〜3週間程度

たとえば、アサガオ(Ipomoea nil)やコスモス(Cosmos bipinnatus)のように花びらが薄い花は押し花向き、ラベンダーや小さめのヒマワリ(Helianthus annuus)のように水分が少ない花はドライフラワー向きです。両方作って見比べると、花の構造の違いを学ぶ発展学習にもなります。

A close-up flat illustration of an open notebook with layered newspaper sheets, cardboard, and press

夏に集めたい花と植物

夏休みシーズンは、押し花・ドライフラワー向きの花が特に豊富に手に入る季節です。庭やベランダ、家庭菜園で育てているもの、園芸店やスーパーで手軽に買える切り花などから選ぶのがおすすめです。

夏に扱いやすい代表的な花と植物は次のとおりです。「押し花向き」「ドライフラワー向き」を意識して選ぶと、失敗が減ります。

花・植物 学名の一例 向いている技法 特徴
アサガオ Ipomoea nil 押し花 花びらが薄く、色もきれい
ヒマワリ(小輪) Helianthus annuus ドライフラワー 存在感があり主役になる
ホウセンカ Impatiens balsamina 押し花 学校教材でもよく使われる
マリーゴールド Tagetes 属 押し花・ドライ両方 鮮やかな黄色・オレンジが残る
ツユクサ Commelina communis 押し花 青色が印象的で人気
コスモス Cosmos bipinnatus 押し花 花びらが薄く扱いやすい
月見草(マツヨイグサ類) Oenothera 属 押し花 淡い黄色を残しやすい
ラベンダー Lavandula 属 ドライフラワー 香りも楽しめる
ペチュニア Petunia × hybrida 押し花 色数が豊富で写真映えする

花だけでなく、シダやドクダミの葉、イネ科の穂なども組み合わせると、作品にリズムが生まれます。ただし、公園や道路沿い、他人の敷地の植物を勝手に採るのはNGです。採取のルールは記事後半で詳しく解説します。

学校の朝顔を育てている場合、種取りだけでなく押し花にも活用できます。育て方や記録の付け方は、夏休みの朝顔観察日記の書き方でも詳しく紹介しています。

押し花の基本の作り方

押し花は、大きく分けて3つの方法があります。仕上がりの美しさ・作業日数・手軽さで選び分けるのがおすすめです。最初は新聞紙と段ボールを使う昔ながらの方法から始めると、失敗が少なく安心です。

新聞紙・段ボール・重石法(基本)

もっともシンプルで、道具も家にあるものでそろえられる方法です。子どもと一緒にゆっくり作業したい場合や、押し花初心者に向いています。

手順は、段ボール→新聞紙→花→新聞紙→段ボールの順に挟み、上から本や辞書などの重石を乗せて2〜10日ほど放置するだけです。途中で新聞紙を交換すると、カビや変色を防げます。

工程 内容
1. 花の準備 朝、露が乾いてから採取し、余分な葉を落とす
2. はさむ 段ボールと新聞紙で花をサンドイッチ
3. 重石 平らな本や辞書を数冊のせる
4. 交換 2〜3日おきに新聞紙を新しくする
5. 完成 花がパリっと乾いたら完成

電子レンジ法(時短)

「夏休みの終盤で時間がない」というときに便利なのが電子レンジ法です。専用の押し花器も市販されていますが、キッチンペーパーと段ボールでも代用できます。

段ボールとキッチンペーパーで花を挟み、電子レンジで20〜30秒ずつ、様子を見ながら加熱します。焦げやすいので、必ず低めのワット数で少しずつ試すのがコツです。花の水分量によって時間が変わるため、加熱と冷却を繰り返して乾かします。

押し花専用シート法(きれい)

パジコなどの手芸ブランドから、押し花用の吸水シートやシリカゲル入りのシートが販売されています。花の色や形をきれいに残しやすく、作品として仕上げたいときに向いています。使い方はパッケージの指示に従うと安心です。

初めての道具をひととおりそろえたい場合、通販でセット商品を探すと、シート・段ボール・保存用袋がまとめて手に入り便利です。

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A flat illustration of a small glass jar filled with silica gel crystals and drying rose and lavende

ドライフラワーの基本の作り方

ドライフラワーも代表的な作り方は3種類あります。花の水分量や仕上がりのイメージに合わせて選ぶと失敗しにくくなります。ハンギング法は初心者でも取り組みやすく、シリカゲル法は色鮮やかに仕上がる方法として人気です。

ハンギング法(吊るして乾かす)

もっとも定番の方法です。輪ゴムやひもで花束を束ね、風通しの良い日陰に逆さに吊るして1〜3週間ほど乾燥させます。直射日光は色あせの原因になるため、必ず日陰で乾燥させるのがポイントです。

チェック項目 ポイント
束ねる本数 3〜5本ずつ小分けに
場所 風通しの良い日陰
期間 1〜3週間目安
湿気対策 梅雨明け後の乾いた日に始める
適した花 ラベンダー・小輪ヒマワリ・スターチスなど

シリカゲル法(色鮮やかに残す)

シリカゲル(乾燥剤)に花を埋めて乾燥させる方法です。花の色をもっとも鮮やかに残せる方法として知られており、密閉容器に入れて数日〜1週間ほど置くだけで完成します。使ったシリカゲルは電子レンジやフライパンで乾燥させれば繰り返し使えます。

「花の色を長持ちさせたい」「立体感を残したい」ときに便利です。

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グリセリン法(しなやかに残す)

水とグリセリンを混ぜた液に、切り花の茎を浸けて数日置く方法です。花や葉がしなやかに仕上がるのが特徴で、ユーカリなどの葉物や、しっかりした茎を持つ花に向いています。小学生には工程がやや難しいので、保護者と一緒に取り組むのがおすすめです。

同じ花を3つの方法で乾かして比較すれば、そのまま「乾燥方法の違いによる色・形の変化」という自由研究テーマにもなります。

押し花・ドライフラワーで作れる作品アイデア

乾かした花は、そのまま観賞用にしても素敵ですが、少し手を加えるとぐっと作品らしくなります。夏休みの工作提出用にも、家族へのプレゼントにも活用できます。

代表的な作品と、必要な材料の一例をまとめます。難易度の目安も添えているので、子どもの年齢や作業時間に合わせて選んでみてください。

作品 使う技法 主な材料 難易度
しおり 押し花 ラミネートフィルム・厚紙・リボン ★
押し花カード 押し花 厚紙・のり・トレーシングペーパー ★
ミニ額(フォトフレーム活用) 押し花 100均フォトフレーム・両面テープ ★★
キーホルダー 押し花 プラバン・キーホルダー金具 ★★
ハーバリウム ドライフラワー 専用ボトル・専用オイル ★★
リース ドライフラワー リース土台・グルーガン ★★★
スワッグ ドライフラワー 麻ひも・リボン ★★
レジンアクセサリー 押し花・小さめのドライ UVレジン・シリコン型・UVライト ★★★

ハーバリウム用の瓶や専用オイルは、100円ショップのダイソーやセリアでも手に入りますが、まとまった数を作るなら通販でセット商品を探すと便利です。

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しおりは1年生でも作れる定番作品です。工作時間が短くて済むので、低学年向け夏休み工作アイデアで紹介している作品と組み合わせて提出するのもおすすめです。ハサミやカッターを使う場面では、貝印など切れ味の安定した道具を選ぶと安全に作業できます。

A flat illustration of finished craft projects made from pressed flowers and dried flowers: a bookma

自由研究テーマとしての活かし方

押し花・ドライフラワーは、単に「作って終わり」ではなく、比較や記録を加えることで立派な自由研究になります。ただ花を並べるだけでも図鑑風にまとめられますし、乾燥方法や条件を変えれば実験研究にもできます。

低学年〜中学年向けの取り組みやすいテーマから、高学年〜中学生向けの発展テーマまで幅広く展開できるのが強みです。

学年目安 テーマ例 内容
低学年 夏の花の名前図鑑 押し花に名前と気づきを添える
低学年 花の色くらべ 色ごとに押し花を分類する
中学年 乾燥方法の比較 新聞紙法・レンジ法・シリカゲル法を比較
中学年 季節ごとの花の記録 夏の花と初秋の花を比較
高学年 色の変化の観察 時間経過による色あせを記録
高学年 部位別の観察 花・葉・茎の乾き方の違い
中学生 学名や科の分類 押し花に学名・科名を添えて分類

たとえば「同じマリーゴールドを3種類の方法で押し花にして色を比べる」といった実験は、材料は同じでも見た目に差が出るためレポートが書きやすくなります。写真とキャプション、簡単な考察を加えれば、模造紙1枚でも十分見応えのある発表になります。

自由研究のまとめ方に迷ったら、夏休み自由研究テーマ一覧でも学年別のテーマを紹介しています。ほかの工作と組み合わせたい場合は、夏休みの工作アイデア30選も参考になります。

A flat illustration of a Japanese elementary school student's free-research poster on white paper. I

採取のルールと保存のコツ

押し花・ドライフラワーづくりを楽しむうえで、必ず守ってほしいのが「花を採る場所のルール」です。身近な自然を教材にできる魅力の一方で、法令や他人の権利への配慮を欠くとトラブルにつながります。

採取が認められる場所は、基本的に自宅の庭やベランダ、許可を得た畑・農園、購入した切り花などに限られます。以下のような場所での採取は避けてください。

場所 可否と理由
自宅の庭・ベランダ OK(自分で育てた植物)
花屋・園芸店で購入した花 OK
許可を得た知人の庭・農園 OK
公園・街路樹・道端 NG(公有地の植物は勝手に採らない)
他人の私有地 NG(不法侵入・器物損壊にあたる可能性)
国立公園・国定公園の特別保護地区 NG(自然公園法により動植物の採取が原則禁止)
絶滅危惧種の植物 NG(種の保存法により採取が禁止される場合がある)

国立公園や国定公園の特別保護地区では、自然公園法にもとづき動植物の採取が原則禁止されています(環境省)。また、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)で指定された植物は、採取・譲渡などが禁止されています。地域によっては都道府県の条例で採取が制限されている植物もあるため、「知らなかった」で済まないのがポイントです。

作品の保存にも少しコツがあります。押し花もドライフラワーも、湿気と直射日光が大敵です。長くきれいに楽しむために、次のような工夫を取り入れてみてください。

保存の工夫 内容
湿気対策 乾燥剤(シリカゲル)と一緒に密閉容器へ
直射日光対策 UVカットフィルム付きの額やケースを使う
表面の保護 しおりはラミネート加工、額装はガラス面で保護
保管場所 高温多湿を避けた室内、押し入れの上段など
色止め マイクロクリスタリンワックスなどで表面をコーティングする方法もある

マイクロクリスタリンワックスは、押し花・ドライフラワー用のコーティング剤として使われる素材で、色あせや湿気から花を守るのに役立ちます。1年生の自由研究など、初めての取り組みなら難しい保存加工までは考えず、まずは乾燥剤入りの密閉袋やアルバムに挟むだけでも十分効果があります。低学年向けの取り組みには、1年生の夏休み自由研究アイデアも参考にしてみてください。

まとめ

押し花とドライフラワーは、身近な花を長く楽しめる技法であり、夏休みの自由研究・工作・思い出づくりを一度に叶えてくれるテーマです。押し花は平面作品、ドライフラワーは立体作品と用途を分け、花の特性に合わせて乾燥方法を選ぶことで、失敗が少なくきれいに仕上がります。

一方で、花を採る場所には十分に気をつける必要があります。自宅の庭や購入した切り花、許可を得た場所の植物を使い、公園や道路、国立公園などの保護地区で採取しないことが大前提です。ルールを守り、乾燥・保存まで丁寧に取り組めば、夏休みの花は「作品」と「学び」として、季節を超えて手元に残ります。

Q. 押し花とドライフラワー、初心者にはどちらがおすすめですか?

A. まずは押し花からがおすすめです。新聞紙・段ボール・重石があれば始められ、道具の準備も最小限で済みます。押し花に慣れてきたら、シリカゲルやハンギング法でドライフラワーにも挑戦してみると、作品の幅が一気に広がります。

Q. 花はどこで採ってきてもいいのですか?

A. いいえ、採取できる場所は限られます。自宅の庭やベランダ、購入した切り花、許可を得た畑などが基本で、公園・道路・他人の敷地の植物を勝手に採取するのはNGです。国立公園や国定公園の特別保護地区では自然公園法により、絶滅危惧種は種の保存法により、それぞれ採取が原則禁止されています。地域の条例にも注意が必要です。

Q. 押し花の色をきれいに残すコツはありますか?

A. 朝、露が乾いた直後の元気な花を選び、余分な水分をキッチンペーパーで軽く取ってから乾かすと色が残りやすくなります。新聞紙は2〜3日おきに交換し、湿気をこもらせないことも大切です。仕上げに乾燥剤と一緒に密閉袋へ入れ、直射日光を避けて保管すると、色あせを大きく遅らせられます。

Q. 電子レンジで押し花を作るときの注意点は?

A. 一度に長く加熱せず、20〜30秒ずつ様子を見ながら短時間加熱と冷却を繰り返すのがコツです。金属を含む道具はレンジに入れず、必ず耐熱性の段ボールやキッチンペーパー、専用押し花器を使いましょう。花の水分量によって最適な時間は変わるため、最初は少ない枚数で試すと失敗が減ります。

Q. 100円ショップの材料だけでも作れますか?

A. はい、ダイソーやセリアなどの100円ショップでも、押し花シート、シリカゲル、ハーバリウム用ボトル、レジン用シリコン型など、必要な材料の多くがそろいます。作品数を増やしたい場合や、より本格的な仕上がりを目指したい場合だけ、手芸専門店や通販で専用品を追加すれば十分です。