夏休みの宿題や自由課題として、絵画コンクールに挑戦するご家庭は多いものです。なかでも「トンボ」をテーマにした絵は、夏らしさを表現しやすく、観察対象としても身近で、毎年多くの作品が出品される人気モチーフです。

しかし、いざ描こうとすると「羽の透明感がうまく出せない」「体の特徴がよくわからない」「どんな構図にすれば入賞に近づくの?」と悩むお子さんも少なくありません。トンボは細部の作り込みと、夏の風景としての雰囲気づくりの両方が問われる、奥の深いモチーフです。

この記事では、夏休みの「トンボの絵コンクール」に応募するためのポイントを、観察のコツから描き方、入賞作品の傾向までまとめました。小学生のお子さんでも取り組みやすいよう、保護者のサポートにも役立つ視点で解説します。

トンボの絵が夏休みのモチーフに人気な理由

トンボは古くから日本人になじみの深い昆虫で、夏から秋にかけて全国の田んぼや川辺、公園の池などで姿を見ることができます。子どもにとって身近で観察しやすく、夏休みの絵のモチーフとして選ばれることが多い昆虫です。

また、トンボは「指標生物」とも呼ばれ、きれいな水辺の環境にすむ種類が多いことから、環境学習のテーマとしても取り上げられます。絵のテーマとして扱う際に、自然や環境への気づきを表現しやすいことも、コンクールで好まれる理由のひとつです。

A child observing dragonflies near a pond with a sketchbook, summer afternoon, soft sunlight, waterc

さらに、トンボは羽の透明感、複眼の輝き、すらりとした体のラインなど、絵として見どころの多い昆虫です。写実的に描いても、デフォルメして描いても作品として成立しやすく、低学年から高学年まで幅広い学年に向いています。

夏休みのコンクールで「昆虫」「自然」「いきもの」をテーマにしているものは多く、トンボは課題に合わせやすい題材でもあります。絵画コンクール全般の選び方は、内部リンクの絵画コンクールまとめもあわせて参考にしてみてください。

観察と下調べのポイント

トンボの絵で大切なのは、まず「よく見ること」です。図鑑やインターネットの写真だけで描くと、どうしても平面的で記号的な絵になりがちです。可能であれば、実際にトンボがいる場所へ出かけ、形や動きを観察してから描き始めましょう。

観察に向いている場所と時期の目安は次のとおりです。

場所 見られるトンボの例 時期の目安
田んぼ・あぜ道 シオカラトンボ、アキアカネ など 夏〜秋
池・沼 ギンヤンマ、イトトンボの仲間 など 初夏〜夏
川辺・用水路 ハグロトンボ、コオニヤンマ など
公園のビオトープ シオカラトンボ、アカネ類 など 夏〜秋

観察するときは、止まっているトンボをじっくり見るのがおすすめです。羽のたたみ方、体の向き、止まり木の枝ぶりなどをスケッチしておくと、構図づくりに役立ちます。

写真を撮らせてもらえる場合は、横からと真上からの2方向を意識して撮影しておくと、後で描く際に体の形をイメージしやすくなります。観察ノートには、見た日付・場所・天気・気づいたことを書き添えておくと、自由研究としてもまとめやすくなります。

下調べでは、図鑑やウェブサイトで「種類による色や模様の違い」を確認しておきましょう。赤いアカネ類、青と黒のシオカラトンボ、黒い羽のハグロトンボなど、種類によって印象がかなり変わります。自分が描きたいトンボを1〜2種類にしぼると、観察も描写も深まります。

身近な自然観察を組み合わせた自由研究にしたい場合は、作品づくりのアイデア集もヒントになります。トンボの種類や生態を詳しく調べたい時は、写真豊富な昆虫図鑑が手元にあると下調べがはかどります。

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トンボの体の特徴(描く前に知っておきたい)

トンボの絵をリアルに描くためには、体の基本的な作りを知っておくことが大切です。昆虫らしい特徴をおさえることで、「トンボらしさ」がぐっと伝わる絵になります。

Close-up illustration of a dragonfly's body parts labeled in Japanese style anatomy sketch, compound

トンボの体は、大きく分けて「頭・胸・腹」の3つの部分でできています。観察するときに意識したいポイントは次のとおりです。

部位 特徴 描くときのポイント
大きな複眼が左右にある 球のような立体感を意識
太く短い、羽と脚がつく部分 体の中で一番がっしり見える
細長く節がある 節を線で軽く表現
4枚あり、薄くて透明 光や脈を線で描き分け
6本、胸からのびる 細く曲がった線で表現

特に印象的なのが「複眼」と「4枚の羽」です。複眼はトンボの顔の半分以上を占めるほど大きく、虹色に光って見えることもあります。羽は4枚あり、前後で大きさや形が少し違うのも特徴です。羽の中には細かい脈(翅脈)が走っていて、これを丁寧に描くとぐっとリアルになります。

下書きの段階では、いきなり輪郭から描き始めず、まずは「頭・胸・腹」の3つを丸や楕円のかたまりとして配置すると、バランスがとりやすくなります。そのあとに羽や脚を足していくと、形が崩れにくくなります。

絵が苦手なお子さんは、まずは簡単なイラスト風に描いて慣れるのも良い方法です。シンプルな描き方のヒントは簡単イラストのコツも参考にしてみてください。

構図・配色のコツ

トンボの絵で差がつきやすいのが、構図と配色です。同じトンボを描いても、画面のどこに、どんな大きさで配置するか、どんな色で塗るかによって、印象は大きく変わります。

構図の基本としては、次のような考え方があります。

  • 主役のトンボを画面の中央よりやや上、または対角線上に配置する
  • トンボの向きと逆方向に空間を空けて、動きを感じさせる
  • 背景に田んぼ・川・空・草むらなどの夏らしい風景を入れる
  • 葉や稲、石などを前景に置いて奥行きを出す

トンボ1匹を大きく描いて主役にするか、複数匹を群れとして描いて夏の空気感を表現するかで、作品の方向性が変わります。低学年なら「1匹をしっかり描く」、高学年なら「複数匹+風景」で構図に挑戦するのもおすすめです。

A composition study of a dragonfly painting with diagonal layout, vivid red and green colors, waterc

配色では、トンボの体の色と背景の色の「コントラスト」を意識しましょう。たとえば、赤いアキアカネを描くなら、背景は緑の田んぼや青い空にすると、主役が引き立ちます。青いシオカラトンボなら、夕方のオレンジ色の空と組み合わせると印象的になります。

水彩絵の具で描く場合は、羽の透明感を出すために、背景を薄く塗ったあとに羽を白く残す方法や、うすい青やグレーで重ね塗りする方法があります。クレヨンとの併用や、にじみを生かした技法も、夏らしい雰囲気づくりに向いています。

絵画コンクール全般の構図の考え方については、絵画コンクール対策や、絵の宿題の進め方もあわせて読むと理解が深まります。透明感のある羽や空のグラデーションを描き分けるなら、色数の揃った水彩絵の具セットがあると表現の幅が広がります。

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入賞作品の傾向

トンボの絵コンクールでは、技術的な上手さだけでなく、「観察した実感」や「自分なりの表現」が評価される傾向があります。過去の入賞作品の傾向として、よく挙げられるポイントを整理してみましょう。

  • トンボの体の特徴がよく観察され、丁寧に描かれている
  • 羽の透明感や複眼の質感など、難しい部分にも挑戦している
  • 田んぼ・川・夕焼け空など、夏らしい風景と組み合わせている
  • 画面いっぱいに描き、余白の使い方にも工夫がある
  • 一匹の表情や動きから、生きものへの愛着が伝わる
Award-winning style children's painting of dragonflies flying over rice fields at sunset, warm color

審査では、写真のように正確に描けているかよりも、「自分の目で見て、自分の手で描いた」と感じられる作品が選ばれることが多いといわれます。観察スケッチや写真を参考にしながらも、自分が感じた印象を素直に表現することが大切です。

また、画面の隅まで丁寧に塗り込まれているか、背景まで作品の一部として考えられているかも、評価のポイントになりやすいです。空や草の色を一色で塗りつぶすのではなく、光や影、季節の空気を感じられるように工夫すると、作品の完成度が上がります。

なお、具体的な審査基準や賞の数は、コンクールごとに大きく異なります。応募を考えている大会の最新情報は、必ず公式サイトで確認するようにしてください。

主なトンボの絵コンクール

トンボをテーマにした絵画コンクールとしてよく知られているのが、神奈川県小田原市と神奈川県が主催する「全日本トンボの絵コンクール」です。トンボに親しむことを通じて、自然や環境について考えるきっかけにしてほしいという趣旨で行われている、トンボに特化した珍しいコンクールです。

このほかにも、自治体や環境団体、企業などが「自然」「いきもの」「水辺の生きもの」などをテーマにした絵画コンクールを開催しており、トンボをモチーフとした作品で応募できる大会が複数あります。

トンボに関連する絵画コンクールの種類のイメージは、次のようなかたちです。

コンクールの種類 主なテーマ 特徴
トンボ特化型 トンボそのもの 体の表現や生態への理解が問われる
自然・いきもの系 自然全般、生きもの 他の生きものと一緒に描いてもよい
環境・エコ系 環境保全、生きものと暮らし 自然と人との関わりが評価されやすい
地域・自治体系 地域の自然、ふるさと 地元の風景と組み合わせやすい

環境やエコをテーマにしたコンクールに興味がある場合は、エコ絵画コンクールの記事も参考になります。文字で表現する力に自信があるお子さんは、書道コンクール作文コンクールもあわせて検討してみてください。

応募できる年齢区分や、画材の指定、画用紙のサイズ、応募方法などは、コンクールによってまったく異なります。最新の応募要項は公式サイトで必ずご確認ください。

応募の流れ

トンボの絵コンクールに応募するときは、ある程度スケジュールを決めて取り組むと、夏休みの終わりにあわてずに済みます。一般的な進め方の例をまとめると次のようになります。

ステップ 内容 目安の時期
1 応募するコンクールを選ぶ 7月上旬まで
2 観察・スケッチ・写真撮影 7月中
3 下書き・構図づくり 7月下旬〜8月上旬
4 着色・仕上げ 8月中旬
5 応募準備(題名・名前など) 締切の1週間前まで
6 投函・提出 締切日より前

応募するときは、画用紙の裏に題名・学校名・学年・名前・住所などを記入するのが一般的です。ただし、必要な情報や記入位置はコンクールによって異なるため、応募要項に従ってください。

特に注意したいのが、画材や画用紙のサイズの指定です。「四ツ切画用紙のみ」「水彩絵の具のみ」など、細かいルールがある場合があります。途中まで描いてから条件に合わないとわかると大変なので、描き始める前に必ず確認しておきましょう。

また、人の作品をまねしたり、写真をそのまま転写したりするのは、コンクールの趣旨に合いません。あくまで自分が観察したこと、感じたことを土台に作品づくりを進めるようにしてください。

よくある質問

Q. トンボの絵が初めてです。どの種類を描くのがおすすめですか?

赤色が目立つアキアカネや、青と黒のシオカラトンボなど、色の特徴がはっきりしている身近な種類が描きやすくおすすめです。図鑑や観察で見たトンボの中から、自分が「かわいい」「かっこいい」と感じたものを選ぶと、最後まで楽しんで描けます。

Q. 写真を見ながら描いてもよいですか?

参考にするのは問題ありませんが、写真をそのまま写し取るような描き方は避けましょう。観察したスケッチやメモと組み合わせて、自分が見た印象や感じたことを生かす形で取り入れるのがおすすめです。コンクールによっては、参考にしてよい資料の範囲が定められている場合もあるため、応募要項を確認してください。

Q. 羽の透明感がうまく出せません。コツはありますか?

水彩絵の具なら、羽の部分は塗らずに紙の白を残す、または極めて薄い色で重ね塗りする方法があります。羽の中の脈は、細い線で控えめに描き入れると、軽さと透明感が出やすくなります。背景の色がうっすら透けて見えるように描くと、より自然に見えます。

Q. 何匹くらい描けばよいですか?

決まったルールはありません。1匹を大きく描いて主役にしてもよいですし、複数匹を群れで描いて夏の風景にしてもかまいません。低学年なら1〜2匹、高学年なら3匹以上+風景に挑戦すると、構図にメリハリが出ます。

Q. 入賞のために特別な道具を買ったほうがよいですか?

学校で使っている水彩絵の具やクレヨン、色鉛筆で十分です。道具よりも、観察の深さや、自分なりの表現の工夫のほうがはるかに評価されます。まずは身近な画材で、楽しく丁寧に描くことを大切にしてください。


トンボは、夏休みの絵のモチーフとして取り組みがいのある題材です。観察を通じて自然への興味も深まり、絵を描く力もぐんと伸びます。家族で観察に出かけ、お子さんが感じたことを大切にしながら、世界に1枚だけのトンボの絵を仕上げてみてください。

なお、本記事で紹介しているコンクール情報や応募の流れはあくまで一般的な目安です。最新の応募要項や締切、対象学年などは、必ず各コンクールの公式サイトでご確認ください。