夏休みの宿題の中でも、読書感想文は「何を書けばいいのかわからない」と手が止まりやすい定番の課題です。原稿用紙を前に一文字も書けないまま数時間が過ぎてしまう子も少なくありません。
しかし、読書感想文はセンスや文才で書くものではなく、手順どおりに進めれば小学生でも必ず書き上げられる課題です。この記事では、本選びから清書まで、家庭で親子で取り組める5ステップに分けて丁寧に解説します。書き出しの言葉やメモの取り方、構成の作り方までテンプレートも交えて紹介するので、今年の夏休みは「感想文が最後に残る」状態から卒業しましょう。
読書感想文でつまずく原因
読書感想文が苦手な子には、いくつか共通するつまずきポイントがあります。原因を知っておくと、5ステップの意味がわかりやすくなります。
まず一番多いのが「いきなり書き始めてしまう」パターンです。本を読み終わってすぐに原稿用紙へ向かい、書きたいことも決めないまま「面白かったです」から書き始めてしまう。これでは途中で手が止まってしまい、原稿用紙のマスを埋めるための「引き延ばし」になってしまいます。
次に多いのが「あらすじだけで終わってしまう」パターンです。物語の順番に沿って出来事を紹介していくと、書き終わったときに「自分の気持ち」がほとんど入っていないことに気づきます。読書感想文は本の紹介文ではなく、「本を読んで自分がどう感じたか」を伝える文章だと最初に押さえておく必要があります。
三つ目は「何を書けばいいかわからない」というテーマの迷子状態です。長い物語の中には、面白い場面や気になる場面がたくさんあります。すべてに触れようとすると散らかった文章になり、どれか一つに絞れないと書き始められません。
これらのつまずきは、後で紹介する5ステップに沿って準備を進めれば、自然と解消できます。
つまずきを整理すると、次のようになります。
| よくあるつまずき | 起こる原因 | ステップでの解決 |
|---|---|---|
| いきなり書き始める | 準備不足 | ステップ2・3で下準備 |
| あらすじだけになる | 感想の言語化不足 | ステップ2でメモ化 |
| 何を書くか決まらない | 話題を絞れていない | ステップ3で構成 |
| 途中で書けなくなる | 下書きなしで清書 | ステップ4で下書き |
| 誤字・脱字が多い | 見直し不足 | ステップ5で確認 |
宿題全体のスケジュールがまだ立っていない場合は、小学生の夏休み計画表や宿題を効率的に終わらせる方法も合わせて確認しておくと、読書感想文にじっくり時間を割けます。
ステップ1:本を選ぶ
読書感想文の出来は、本選びで半分決まると言っても言い過ぎではありません。書きやすい本には共通点があります。

書きやすい本の条件は、大きく分けて三つあります。一つ目は「自分の学年に合った長さと難しさ」であること。低学年なら短めの物語や絵本、中学年なら児童文学、高学年なら少し長めの物語やノンフィクションが目安です。難しすぎる本を選ぶと、あらすじを追うだけで精一杯になり、感想を書く余裕がなくなります。
二つ目は「主人公に共感できる」ことです。同年代の子どもが主人公の物語や、自分の好きなこと(スポーツ・動物・宇宙など)が題材の本は、気持ちを重ねやすく感想が浮かびやすくなります。
三つ目は「心が動く場面がある」ことです。悲しい・くやしい・うれしい・驚いた、といった感情がはっきりする場面があれば、そこを中心に書けます。
課題図書から選ぶ場合は夏休みの課題図書を、自由に選びたい場合は小学生におすすめの本を参考にしてみてください。
本選びで迷ったときは、次の質問を自分に投げかけてみましょう。
- タイトルや表紙を見てワクワクするか
- 最初の数ページを読んで続きが気になるか
- 主人公の年齢や性別、好きなことに近いところがあるか
これらに一つでも「はい」と答えられたら、その本は感想文の題材として十分です。書店や図書館で数冊手に取って、比べてから決めるのがおすすめです。
ステップ2:印象に残った場面をメモする
本が決まったら、いきなり感想文を書き始めず、「下読み」と「メモ」の時間を作ります。ここが5ステップの中で一番大切な準備段階です。

用意するものは、本・付箋・ノート(またはメモ用紙)・鉛筆の4つだけです。読みながら、次のようなポイントに付箋を貼っていきます。
- 心が動いた場面(うれしい・悲しい・くやしい・驚いた)
- 好きだと思った登場人物のセリフや行動
- 「自分だったらどうするだろう」と考えた場面
- 知らなかったこと・初めて知ったこと
一冊全体で5〜10か所くらいに付箋が貼れると理想的です。多すぎるときは、その中から特に心に残った3か所に絞ります。
付箋を貼り終えたら、ノートに次のような表でメモを整理します。
| 場面 | どんな気持ちになったか | なぜそう思ったか |
|---|---|---|
| 主人公が友だちに謝る場面 | ホッとした | 自分もけんかしたことがあるから |
| 家族に本音を伝える場面 | 勇気があるなと思った | 私はまだ言えないから |
| 最後に夢に向かって走り出す場面 | 応援したくなった | 自分も習い事をがんばっているから |
このメモがそのまま感想文の材料になります。「なぜそう思ったか」の欄には、自分の体験や気持ちを結びつけて書くのがポイントです。ここに書いた内容が、感想文の中でオリジナリティを生み出してくれます。
低学年で書くのが難しい場合は、親が聞き役になって「その場面のどこが好きだった?」「もし自分だったらどうする?」と質問し、答えを親がメモしてあげる形でも構いません。
ステップ3:構成を組み立てる
メモがそろったら、いきなり書き始めるのではなく、文章の設計図を作ります。設計図があると、途中で迷わずに書き進められます。

小学生におすすめなのが「はじめ・なか・おわり」の三部構成です。原稿用紙の枚数にあわせて、各部分の分量の目安を決めます。
| 部分 | 書く内容 | 分量の目安 |
|---|---|---|
| はじめ | 本を選んだ理由・出会い | 全体の2割 |
| なか | 心に残った場面と自分の気持ち | 全体の6割 |
| おわり | 読んで学んだこと・これからしたいこと | 全体の2割 |
「はじめ」では、本と自分の出会いを書きます。「表紙のイラストが気になったから」「学校の先生が紹介してくれたから」「動物が好きだから」など、選んだきっかけを一言添えると、その先の感想に説得力が出ます。
「なか」は感想文のメインです。ステップ2でメモした3つの場面から、特に印象に残った1〜2場面を深く書きます。「その場面で主人公はどうしたか→自分はどう感じたか→なぜそう感じたか→自分の体験や考え」の順で書くと、あらすじだけにならず、自分の気持ちがしっかり伝わります。
「おわり」では、読み終わってからの変化を書きます。「これからは家族にありがとうを伝えたい」「あきらめずに練習を続けたい」など、読んだあとの自分の行動につなげると、印象的な締めくくりになります。
構成メモをノートに書いておくと、下書きの段階でとても楽になります。作文全般が苦手な場合は、夏休みの作文コンクールの記事で紹介している題材選びのコツも参考になります。
ステップ4:下書きを書く
構成ができたら、原稿用紙にいきなり書くのではなく、まず下書きを書きます。下書きは、清書で失敗しないための大切な工程です。
下書きはノートやコピー用紙で構いません。マス目のある原稿用紙のコピーがあると、文字数の感覚がつかみやすくおすすめです。書くときは、次の3つのルールを意識しましょう。
- 一文はなるべく短く区切る
- 「〜と思いました」を連続で使わない
- 会話文はカギカッコ「」で改行して書く
書き出しに迷ったときは、次のようなパターンを参考にしてみてください。
- 場面から始める:「主人公が最後にひとりでバスに乗る場面が、心に残っています。」
- 問いかけから始める:「もしみなさんが、大切な友だちとけんかしたらどうしますか。」
- 自分の体験から始める:「わたしにも、この本の主人公と同じような経験があります。」
「面白かったです」「感動しました」から始めると、平凡な書き出しになりがちです。具体的な場面や問いかけから始めると、読み手の興味を引きつけられます。
下書き中に手が止まったら、ステップ2で作ったメモに戻りましょう。書きたい場面と気持ちの理由がメモに書かれているので、そこを文章に膨らませていくイメージです。文字数が足りないと感じたら、「なぜそう思ったのか」「自分だったらどうするか」の部分を厚く書き足します。逆にオーバーしそうなときは、あらすじの説明を減らして感想の部分を残すのが基本です。
下書きが書けたら、そのまま清書に進まず、一晩寝かせるのがおすすめです。時間を置いてから読み返すと、直したい部分に気づきやすくなります。
ステップ5:清書と見直し
下書きが完成したら、いよいよ原稿用紙に清書します。清書は丁寧に書くことが第一で、字がきれいでなくてもゆっくり書けば十分読みやすくなります。

清書の前に、下書きを声に出して読んでみましょう。声に出すと、次のような不自然な部分に気づきやすくなります。
- 同じ言葉のくり返し
- 主語と述語のねじれ
- 意味が伝わりにくい長すぎる文
- 句読点が抜けている場所
気になったところを鉛筆で直してから、原稿用紙に写していきます。清書時に注意したい原稿用紙のルールは次のとおりです。
| 項目 | 書き方のルール |
|---|---|
| 題名 | 1行目に上を2〜3マスあけて書く |
| 名前 | 2行目に下を1〜2マスあけて書く |
| 書き出し | 本文の最初は1マスあける |
| 段落 | 段落の最初も1マスあける |
| 会話文 | 「」で改行して書く |
| 句読点 | 行頭に来る場合は前の行のマス内に書く |
清書が終わったら、最後の見直しを行います。見直しでは、「音読チェック」「誤字チェック」「原稿用紙ルールチェック」の3点を順番に行いましょう。誤字を見つけたときは、消しゴムで丁寧に消してから書き直します。修正液は使わず、鉛筆で書き直すのが基本です。
書き終わった達成感は、夏休みの大きな自信になります。目標を書き出しておくと最後までやり切りやすくなるので、夏休みの目標シートを活用するのもおすすめです。
書き方のコツをより深く学びたいときは、実例つきの読書感想文の書き方本を1冊手元に置いておくと安心です。
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親のサポートのコツ
読書感想文は「子どもが書く宿題」ですが、家庭のサポートで完成度も達成感もぐっと変わります。ポイントは、親が代筆せず、聞き役に回ることです。
サポートの基本は、次の3つです。
- 場面ごとに「どう思った?」と質問する
- 子どもの言葉をそのままメモしてあげる
- 書き終わったら、まず良かったところを伝える
質問するときは「面白かった?」のように「はい・いいえ」で答えられる聞き方を避け、「主人公のどこが好き?」「もし自分だったらどうする?」のように答えを広げやすい問いかけを心がけましょう。
親のサポートで避けたいNG例と、代わりに使える声かけを表にまとめました。
| NG例 | 代わりの声かけ |
|---|---|
| 「そこはこう書きなよ」 | 「その場面のどこが好きだった?」 |
| 「もっとちゃんと書いて」 | 「今の気持ちを一言で言うと?」 |
| 「これじゃダメだよ」 | 「ここの気持ちをもう少し教えて」 |
| 「早く書き終わって」 | 「今日はどこまで進める?」 |
親が書き直しをしてしまうと、子どもは「自分にはできない」と感じてしまいます。誤字や表現の修正は最小限にとどめ、内容は本人の言葉を活かしましょう。
低学年の場合は、親がインタビュアーになって聞き取り、そのメモを子どもが清書するスタイルでも十分です。学年が上がるにつれて、聞き取りから下書きまで自分でできるようになっていきます。
よくある質問
Q. 何日くらいかけて書けばいいですか?
目安は3〜5日です。1日目に本選びと読書、2日目にメモと構成、3日目に下書き、4日目に見直しと清書、というスケジュールが無理のないペースです。1日で終わらせようとすると、あらすじだけの文章になりがちなので、数日に分けるのがおすすめです。
Q. あらすじはどのくらい書けばいいですか?
全体の2〜3割までが目安です。「なか」の部分で場面を紹介するときに、その場面の前後がわかる程度に短くまとめれば十分です。感想文は本の紹介ではなく、自分の気持ちを伝える文章なので、あらすじよりも「自分がどう感じたか」「なぜそう感じたか」に文字数を使いましょう。
Q. 書くことが思いつかないときはどうすればいいですか?
ステップ2のメモ作りに戻りましょう。もう一度本を開き、付箋を貼った場面をゆっくり読み返します。それでも思いつかないときは、親や家族に「この場面、どう思う?」と話してみると、話しながら自分の考えが整理できます。
Q. 原稿用紙の枚数が足りません。どうすれば増やせますか?
「なぜそう思ったのか」「自分だったらどうするか」「自分の体験と重なるところ」を書き足すと、自然に文字数が増えます。あらすじや同じ表現を増やして水増しするのは避け、感想の中身を厚くする方向で調整しましょう。
Q. 感想文が上手に書けたか自信がありません。何を基準に見直せばいいですか?
次の3つがそろっているか確認してみてください。
- 本を選んだ理由が書かれているか
- 心に残った場面と、そのときの自分の気持ちが書かれているか
- 読んだあとに自分がどう変わりたいかが書かれているか
この3点があれば、「あらすじだけの感想文」から一歩抜け出した文章になっています。字の丁寧さや誤字の少なさより、この構成のほうがずっと大切です。
読書感想文は、5ステップに分けて進めれば、小学生でも必ず書き上げられる宿題です。「本を選ぶ→場面をメモする→構成を組み立てる→下書きを書く→清書と見直し」の順に、少しずつ準備を積み重ねていきましょう。書き終えたときの達成感は、夏休みの大きな思い出になるはずです。